
幻想と現実のあいだで揺れる、ロマンティック・バレエの原点
11月、東京バレエ団が上演するのはロマンティック・バレエの象徴ともいえる『ラ・シルフィード』。
白いロマンティック・チュチュをまとった妖精たちが舞う舞台は、まさにバレエ史に刻まれた名場面です。幻想と現実の間で揺れる愛の物語は、200年近く経った今も観客の心をとらえ続けています。本記事では 「ラ・シルフィード 見どころ」を中心に、キャラクター解説やDVD紹介などをまとめました。
作品の背景やキャラクター、音楽や振付の特徴、さらには有名なバリエーションの見どころまでたっぷり解説。11月の公演前に読んでおけば、舞台を何倍も楽しめるはずですよ♪
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『ラ・シルフィード』とは?ロマンティック・バレエの原点
1832年にパリ・オペラ座で初演された『ラ・シルフィード』は、ロマンティック・バレエの幕開けを告げた作品です。振付はフィリッポ・タリオーニ、主演は彼の娘マリー・タリオーニ。精霊シルフィードを演じた彼女の姿は、当時の観客に衝撃を与え、以後「ロマンティック・チュチュ」や「幻想的なポワント」のスタイルが広がりました。
1836年にはデンマークのオーギュスト・ボルノンヴィルが新たな振付で上演。今日まで継承されているのは主にこのボルノンヴィル版です。
登場人物(キャラクター紹介)
役名 | 特徴/役割 |
---|---|
ジェームズ(James) | スコットランドの農夫。婚約者がいるが、森の精霊(シルフィード)に魅せられてしまう。現実と幻想の間で揺れる主人公。 |
シルフィード(The Sylph / Sylphide) | 森や空気の精霊。人間には捕らえられない存在。ジェームズにとって幻想・夢・非日常の象徴。 |
ガーン(Gurn) | ジェームズの友人。婚約者エフィーへの思いを秘めつつ、物語に人間的な板挟みを加える存在。 |
エフィー(Effie) | ジェームズの婚約者。現実の生活を象徴する役。忠実で誠実な人物。 |
老魔女マッジ(Old Madge / Madge) | 呪いや予言を手段に用いる存在。物語の転換をもたらす鍵。幻想と現実がぶつかる場面で重要。 |
あらすじ
第1幕:結婚式の朝
スコットランドの農村。ジェームズは婚約者エフィーと結婚式を迎えるはずでしたが、暖炉のそばで居眠りをしていると、夢の中に妖精シルフィードが現れます。現実には存在しないはずの彼女に、ジェームズは心を奪われていきます。
そこへ老魔女マッジが現れ、ジェームズの未来を暗示する予言を告げます。エフィーを想うガーン、結婚の準備をする家族や村人たち…。現実の幸せを前にしながら、ジェームズは幻想に引き寄せられ、ついにシルフィードと森へ消えていきます。
第2幕:幻想の森
霧が立ち込める森の奥。シルフィードは仲間の精霊たちと幻想的に舞い、ジェームズを迎え入れます。幸せの絶頂に見える二人ですが、マッジの呪いが待ち受けていました。魔法のヴェールをまとったシルフィードは翼を失い、命を落としてしまいます。
残されたジェームズは、幻想を追い求めた代償の重さを知ることに・・・
ラ・シルフィードの見どころ
① シルフィードの幻想性
ポワントを使ったふわりとした動き、霧の中に消えるような演出。バレリーナが「人ではない存在」に見える瞬間は、本作の最大の魅力です。
② 男性ヴァリエーションの充実
ジェームズやガーンのソロは、ボルノンヴィル作品らしく足さばきの速さと軽快なジャンプが要求されます。男性ダンサーの実力が際立つ点も、この作品ならでは!
③ 群舞(バレエ・ブラン)の美しさ
シルフィードたちの群舞は、『ジゼル』『白鳥の湖』と並ぶ「白のバレエ」の典型。統一感のあるラインや霧の中で溶けるようなフォーメーションは、観客を幻想世界へ誘います。
④ 音楽の雰囲気
ローヴェンスキョルドの音楽は牧歌的でありながら幻想的。森の奥行きや妖精の羽音を感じさせる旋律は、踊りと舞台美術をよりドラマティックに彩ります。
⑤ 舞台美術・衣裳
第1幕のスコットランド農村の温かさと、第2幕の幻想的な森の対比。ロマンティック・チュチュの透明感や光と影の演出が、物語をより引き立てます。
有名なバリエーション紹介
- シルフィードのヴァリエーション:空気のように軽やかで、足音を感じさせない踊り。退場時の儚さは必見。
- ジェームズのヴァリエーション:難度の高い跳躍とバッテリー。幻想に心を奪われた青年の高揚感を体現。
- ガーンのヴァリエーション:明るく親しみやすいソロ。人間的で観客を和ませる。
- 群舞:幻想的な白の世界。舞台全体が一枚の絵画のように見える瞬間です。
東京バレエ団版ラ・シルフィード(2025年11月)の注目ポイント
主なキャスト
- シルフィード:沖 香菜子(11/2)、秋山 瑛(11/3)
- ジェームズ:宮川 新大(11/2)、生方 隆之介(11/3)
- マッジ:柄本 弾(11/2)、安村 圭太(11/3)
※2025年9月時点発表
東京バレエ団ならではの見どころ
- 演出:ピエール・ラコット復刻版。幻想的な世界観を原典に忠実に再現。
- 群舞:東京バレエ団の持ち味である群舞の統一感と品格。白のバレエの美しさが際立ちます。
- キャスト解釈:シルフィード役による表現の違い。浮遊感、透明感、繊細さ、可愛らしさなど、各公演日のキャストが纏い奏でる空気の違いが見どころ!
まとめ
『ラ・シルフィード』は、幻想の美しさと現実の厳しさを描く、バレエ史に残る名作!
幻想を追い求める喜びと、その代償…。観終わった後には、自分自身の「夢と現実」について考えさせられる・・・かも。東京バレエ団の11月公演を観る前に、DVDや過去公演をチェックしておくと、さらに理解が深まりますよ♪
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幻想と現実が交錯するこの物語を、ぜひ舞台で体験してみてくださいね。
東京バレエ団 ラ・シルフィード公演情報
日程:2025年11月2日(日)〜11月3日(祝月)
会場:東京文化会館 大ホール(上野)
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